« たまには違う世界も見てみたい | メイン | トリプル・ショーック!!(今ハヤリのB'z風に) »

2005年10月30日

木酢について調べてみました。

コケ対策として有名らしい木酢についてちょっと調べてみましたので、今日は多少なりとも久々にバイオっぽいことを書いてみようかと思います。
かくいう私も数日前まで木酢という存在自体すら知りませんでした。

まず、木酢とはなんなのか、について。

木酢(読み方は「もくす」だと思っていましたが「もくさく」らしいです)とは、
「まず木材を蒸し焼きした時に出る煙を集めて冷やす。
そうすると、上層部に黄色の油分、中間層に透明性の黄赤褐色の部分、最下層に黒っぽいタール性の油分、の3層に分かれる。
この中間層が木酢成分となる。」
らしいです。

精製度の低い木酢はタール成分を含むため、純度の低い木酢を熱帯魚水槽に入れるのは危険を伴う諸刃の剣となりかねないようです。
園芸用は低純度のものがある可能性があるので注意です。
しかし、精製をくり返した高純度の木酢は非常に高価なものもあるようで、高いものでは500mlで1万円を超えるものもあるようです。

余談ですが、ADAのコケ対策用試薬として売られている「フィトンギット」も主な主成分は木酢ではないかという話もあるとかないとか。
でもたぶん純度はかなり高いものと思われますので安心して使えることは確かでしょう。

一般的に純度の高いものは(一般的かどうか知りませんが)、入浴剤とか、石けんとかに使われるようで、どうやら美容効果があるらしいです。
アトピーにも効くとか。
普通のものは、農業用に使われるそうです。
農業用では、木酢をまくことによって、病害虫防除効果・微生物の繁殖を促進させ土壌改良効果、などが得られるようです。
どうやら殺菌作用があることが効いているみたいですね。

なぜ「酢」というかというと、その第1成分(液体中で最も割合が高い物質)が酢酸だからだそうです。
といっても酢酸の割合は3%程度で、その他、よくわからないものが300種以上含まれているとか(今現在も中身の詳細は不明らしいです)。
作る時に使う木によって木酢成分も異なるようです。
広葉樹とか針葉樹とか、色々。輸入木材で作ったものはタール分が多い場合があるので注意らしいです。
竹で作ったものは竹酢と言われるみたいですね。

コケ対策として使用する時は、葉の厚い植物の場合は、2〜3倍希釈程度の液体をスプレーなどでコケに襲われたナナちゃん等に直接噴霧し、10秒程度経ったら洗って水槽に戻すという使い方をするようです。
水槽から出せない植物や、水槽内全体をコケから予防するためには、60cm水槽の場合(つまり50リットルちょいぐらいに対して)5ml程度添加するとよいらしいです。
しかし、使用する木酢によって濃度や純度が異なるため、それにあった使用をするべきで、まずは少量から試してみた方が良さそうですね。

いったいどういう風にしてコケ(藻)だけに作用しているのかは謎ですが、少なくとも直接噴霧する時は、コケの細胞壁(細胞膜)の方がアヌビアスナナちゃんなどに比べたら柔なためにダメージを食らいやすいからだと思われます。
浸透圧(濃度が濃いものの方へ水が移動する作用)による細胞の破壊か、あるいは酸によるタンパク質の変性(タンパク質がぶっこわれること)のどちらかではないでしょうか。
なので直接噴霧の際は、あまり長時間放置すると水草もダメージを食らってしまうので気を付けないとですね。
水槽内に微量添加した際は、何らかの別の成分によって水草の成長が促進されることが効いているのか、コケが嫌がる殺菌作用的(コケは菌ではないですが)なものが作用しているのでしょうかね。

木酢は酢酸が主成分ということで、そのpHは約「3」らしいです。かなりの酸性です。
ですから、水槽内に加える時は、量を多く入れすぎないようにかなりの注意が必要です。

ちょっと前にpHの記事を書いた際にはあまり細かい話をしなかったと思うので、今日はせっかくなのでpHについてもう少しだけ書いておくことにします。(なげ〜よ、って言わないでね(笑))。

pHとは、水素イオン濃度に基づいて算出されます。
水はご存じの通り、H2Oという化学式で表され、水素(H)と酸素(O)からできています。
しかし、これは常に分子の状態であるわけではなくて、ある程度水素イオン(H+)と酸素イオン(O2-)のようにイオン状態で分かれて漂っています。
完全に水しかない状態(つまり純水)では水素イオン濃度は1リットル中に1.0 x 10-7 mol(モルと読みます)の濃度で存在し、他は水分子の状態になっています。
1 molとは6.23 x 1023個の事を指しますので、つまり純水の時の水素イオンの個数は、1リットル中では、
1.0 x 10-7 x 6.23 x 1023 = 6.23 x 1016
ということになります。

pHは上にも書いた通り水素イオン濃度から算出され、その式は、
pH = - log10 [H+]
で表されます。
[H+]は水素イオンのモル濃度を示します。
なので、上に書きました通り、純水での水素イオン濃度は1.0 x 10-7なので、純水のpHは、
pH = - log10 (1.0 x 10-7)
 = - log101.0 - log1010-7
 = - log10100 - log1010-7
 = 0 + 7
 = 7
ってことでpH = 7となります。

(ただし、これは完全な純水の場合です。水道水は純水からはほど遠く色々なもの、塩素とか、ミネラル分とか、が入っているのでpHが7ではなく、地方によって異なります。
本当の完全にピュアな純水は作り出すのに大がかりな装置が必要です。バイオな世界でも相当ピュアな水をMilliQという装置によって作って、約pH=7までいきますが、それでも完全な純水とは言えません。だいたいその場合のコストは、500mlで千円近くかかり、ジュースよりもよっぽど水の方が高いです。
ちなみに極めて完全にピュアに近い水は、買うと500mlでも1万円ぐらいします。)

水が酸性になると水素イオンの濃度が上昇します。
では、木酢の場合を考えてみましょう。
木酢のpHは3ということでしたね。
pHだけ見ると純水の7と比べてたった4しか違わないじゃないかと思われるかもしれませんが、実際は相当違います。

これは式から考えるとわかります。
pH3の時は、
pH = 3 = - log10 (1.0 x 10-3)
ということになりますので、水素イオン濃度は1リットル中1.0 x 10-3 molです。
純水は1.0 x 10-7 molでしたので、これを小数点で表すと、
純水が1リットル中0.0000001 mol、
木酢が1リットル中0.001 mol
ってことになりますので、水素イオン濃度から見たら1万倍も違うことになります。

pH7とpH6の間でも、ほとんど差がないように見えますが、実際は水素イオン濃度から見たら10倍も差がありますので全然違います。
アクアリストとしてはこの1の違いでも実際は10倍も違うということを知っていると、pHへの気遣いも少しアップするのではないかと思います(笑)。

ってことで、まずは私はpHよりもコケをなんとかしないといけないので、明日辺りホームセンターで木酢が売っているかを見に行こうかと思っています(笑)。

投稿者 38brain : 2005年10月30日 05:06

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.aquamindlaboratory.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/87

コメント

今日はまたすごいバイオ話ですね?
木酢、私は(もくず)だと思ってました(笑)
どうでしょう!提案です。
コケ退治に、木酢をどばっと入れて!
5秒後にソーダ灰を入れる!
たぶん・・崩壊しちゃいますよね(汗)

投稿者 ebita : 2005年10月30日 10:10

自分もpHの原理を知ってるつもりなので、ショップの水と家の水がpHが2も違う時なんかは5時間以上水あわせしてます。
CRSのときなんかは1日中水あわせです。
それにしても水って不思議ですよね!

投稿者 yoshi : 2005年10月30日 11:00

木酢の話、勉強になりました。
割とアクアリストに受け入れられているようなので、ただそれだけの理由で導入した自分にとってみれば、とても勉強になります。
現実問題、コケがそれで減るのかどうかってのは同じ環境で試す事はできませんが、きっと効果があるのだろうと思って使用しております。

投稿者 レガ : 2005年10月30日 17:53

>ebitaさん
あは、私もモクズかともちょっと思いましたが、それだとコケのせいで水草が藻屑(もくず)と消えましたって感じであまりにも読み方として縁起が悪いので違うだろうと勝手に思ってました。
木酢プロジェクトついに実践スタートしました!

>yoshiさん
5時間ですかぁ!それはすごい。
エビちゃんは水質変化に弱めだからでしょうか。
それともほかの魚でもそうなのかな?
愛ですねぇ。
「水って不思議ですよね」ていう意見はかなり通ですね。
地球上に存在する分子の中でも水は相当他のものと異なり特殊なものなんですよ。
固体になると容積が増えるし(たしか水以外にはほかに1つしかなかった気がしました。も1つはなんだったかなぁ)、0度でなく、4度で一番密度が小さくなるし、水分子同士でもさらに高次構造クラスターを形成していたり。
主な液体成分が水でなかったら今の地球(生命)は誕生しなかっただろうと言われています。それぐらい水は特殊な存在だということですねー。

>レガさん
おばあさんの知恵袋的な昔から経験的に知られていたことって、実は木酢みたいに原理が不明なものがたくさんあるんですよね。
昔の人はチャレンジャーだなーってよく思います(笑、キノコとか納豆とかを最初に食べた人とか)。

投稿者 38brain : 2005年10月31日 04:47